引き継ぎ
とあるカードが別の状態や別のカードになった時、もともと受けていた効果などを受け継ぐこと。
引き継ぎが起こりうるケース
効果などを引き継ぐかどうかが意識されるのは、主に以下の場合である。
- クリーチャーが進化した時
- 進化クリーチャーが退化した時
- クリーチャーがG・リンクした時
- クリーチャーのG・リンクが外れた時
- カードが裏返った時およびそれによりカードタイプが変わった時
- クリーチャーの一番上のカードが、別のクリーチャーの上に移動した時(俗称の「横跳び」が行われた時)
引き継ぎが起こらないケース
- バトルゾーンの魔導具クリーチャーが「無月の門」能力で重ねられつつ別のクリーチャーになった時
- 進化元だけは唯一引き継がれ、まとめて無月の門クリーチャーの下に置かれる。以前は進化元すら引き継がれず、魔導具カードの下にあるカードは分離して再構築される裁定だった。
- バトルゾーンとそれ以外のゾーンでクリーチャーが入れ替わった時
- 攻撃中の入れ替えのための最低限の情報として、今の攻撃クリーチャーであるということと、タップまたはアンタップの位相は引き継ぐが、それ以外は引き継がない。特性を参照する場合は過去の状態を見る。
解決による引き継ぎ
呪文、起動型能力、誘発型能力の解決によって、とあるカードが受けていた状態が、進化したり、覚醒したりして別の名前のクリーチャーになった時に引き継がれること。
解決という手順を踏まない常在型能力による状態は引き継がれない。常在型能力による状態変化は、常に対象となるクリーチャーに発生し続けているだけである。
パワーに関する引き継ぎ
- 逆に、リンク外し、リンク解除などによって、1体のクリーチャー・オブジェクトが2体以上のクリーチャーに分かれた時、パンプアップ、パワー低下の効果はそれぞれのクリーチャーにそのまま引き継がれる。
- 上述のように、複数のクリーチャーが1体のクリーチャーになった時は、パンプアップ・パワー低下された分は、それぞれ合算して1体になったクリーチャーに引き継がれるが、1体のクリーチャーが複数体のクリーチャーに分かれた時は、解決によってパンプアップ・パワー低下された分はそのままのそれぞれのクリーチャーに引き継がれる。これを利用すれば、呪文や誘発型能力の効果によってパンプアップされた複数体のクリーチャーを1体のクリーチャーにする→複数体のクリーチャーに分ける→1体のクリーチャーにするを、パンプアップの効果が切れる前にループさせれば、どんどんそれらのクリーチャーのパワーは上がっていくことになる。
- 例えば、呪文や誘発型能力の効果によって、それぞれパワーが+2000されている状態の《竜極神ゲキ》と《竜極神メツ》をG・リンクして1体のクリーチャーにさせると、そのクリーチャーのパワーは+4000された状態になる。その状態で、それらのリンクを外すと 《竜極神ゲキ》と《竜極神メツ》のパワーはそれぞれ+4000された状態になり、さらにもう1回それらをG・リンクさせて1体のクリーチャーにすると、そのクリーチャーはパワーが+8000された状態になる。
その他の特性、適用された効果の引き継ぎ
「クリーチャー」に対する引き継ぎ
対象が「このクリーチャー」もしくは「そのクリーチャー」と指示されるクリーチャーが、進化、覚醒などによって別のクリーチャーになっても、同一のクリーチャーとして扱われる。
攻撃の引き継ぎ
- 攻撃中のクリーチャーが進化してもその攻撃状態は進化クリーチャーに引き継がれる。これは、G・リンク、覚醒リンクした時も同様。
リンク解除などによって攻撃中のクリーチャーが複数のクリーチャーに分かれた場合、そのうちの1体が攻撃を引き継ぐ。
- 革命チェンジ、Jチェンジした場合も、チェンジによってバトルゾーンに出たクリーチャーに攻撃が引き継がれる。
- ただし、チェンジする前のクリーチャーはバトルゾーンを離れているため、解決による効果までは引き継がれない。
- 一方で位相は引き継がれる。チェンジ前のクリーチャーがタップしていればチェンジ先もタップして登場する。
装備品の引き継ぎ
クロスギア、ウエポン、オーラ(以降、まとめて装備品とする)を付けたクリーチャーが進化などした場合、装備状態が引き継がれる。
リンク解除などによって複数のクリーチャーに分かれた場合、1枚につき、分離したクリーチャーのうちのどれに引き継ぐかを決められる。
進化クロスギアによって、クロスギアが進化・退化した場合も、クロス先はそのまま引き継がれる。
位相の引き継ぎ
例えばサイキック・クリーチャーを別のサイキック・クリーチャーに裏返す時、裏返る前にアンタップされていればアンタップ状態のまま裏返り、裏返る前にタップしていればタップ状態のまま裏返る。
2枚以上を進化元とする際、及びG・リンクする際に、元となるカードの中にタップとアンタップが混ざっていた場合、タップが優先される(総合ルール801.2b,803.3a)。元となるカードのうち1体でもタップされていれば、1つとなったオブジェクトはタップ状態になる。
フォートレスなど、タップの位相が存在しないカードタイプに変化した場合、位相はリセットされる。タマシードなど、タップの位相が存在するカードタイプなら引き継がれる。
- なお進化をする際、「バトルゾーンの位相」は、「進化元の状態を引き継ぐ」のではなく「次に出るクリーチャーの出され方を決める」形になる。タップしたクリーチャーの上に進化クリーチャーを重ねると、「必ずタップ状態でバトルゾーンに残る」というわけではなく、《弩闘!桃天守閣》によって「アンタップで新たに出る」扱いとなる。革命チェンジでも同様で、攻撃してタップ状態のクリーチャーと入れ替えても《弩闘!桃天守閣》があるなら引き継がれたタップインを置換効果でアンタップインへと変更される。
- 退化はバトルゾーンに出たカードではないと裁定が出ているため、《弩闘!桃天守閣》の「出る時」の置き換えは発動せず、タップで退化したらタップのままである。
それらについては、根本的に「引き継ぎ」とは異なる考え方となる。
定義としてはそのカードが前のターンからバトルゾーンにあったか、またそのカードが出たターン中かというのは、カードごとに記憶される。
退化で考えれば、1ターン中に《死神術士デスマーチ》と《龍脈術 落城の計》を使うことで《∞龍 ゲンムエンペラー》を登場させたとする。それは召喚酔いしている。その理由は《デスマーチ》が出たターンの情報を引き継ぎしたというわけではなく、進化元の《∞龍 ゲンムエンペラー》が『そのカードが自分のターンのはじめから続けてバトルゾーンにない』[1]ことで、召喚酔いが消えていないからである。
別の例では《龍波動空母 エビデゴラス》がある。《龍覇 M・A・S》などでフォートレスとして出した同じターンに《龍素力学の特異点》を2枚唱えるなどをして《最終龍理 Q.E.D.+》に龍解したとする。それは召喚酔いしている。一見すると引き継ぎしているようにも見えるが、定義通りカードごとにバトルゾーンにあるターンは記憶されていて、同一カードである両面カードは必然的に召喚酔いをしている/していないターンが同じになるだけである。また、「クリーチャーごとに」ではなく「カードごとに」と記載してあるとおり、非クリーチャーでも召喚酔いの判定はされている。
ウエポンでも同じ。《王・龍覇 グレンモルト「刃」》で《将龍剣 ガイアール》を装備して同じターンにガイアール・コマンド・ドラゴンである《グレンモルト「刃」》が攻撃したら《猛烈将龍 ガイバーン》に龍解するが、《ガイバーン》はカードとして出たばかりのターンなので召喚酔いしている。
最後に、《ソーナンデス <レイザー.Star>》を挙げる。前のターンにコスト2進化元を出しておいて、今のターンになってからそのクリーチャーに進化させるとする。それはタップまたはアンタップしているクリーチャーを攻撃できる。進化元の出たターンはいつだったかは、新たな一番上には引き継ぎされない。
- 複数のカードで成り立つクリーチャーは、ルールや能力で召喚酔いをなくしている。
- 一度召喚酔いがなくなったとしても、それを契機に永続で召喚酔いを失うわけではなく、召喚酔いしない前提が損なわれた場合は再度召喚酔いする。「スピードアタッカー」も参照。
- 引き継ぎがないと同時に、情報のリセットもない。
- 召喚酔いしている/していないクリーチャーが封印され、同じターン中にその封印を外しても、召喚酔いの状態は封印前と変わらない。
引き継ぎ早見表
| 付与 パンプ | 待機 対象 | 装備 | 進化元 | 攻撃 | タップ | 召酔 |
| 進化した時 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○※ | 進化クリーチャーは召喚酔いしない |
| (進化クリーチャーが)退化した時 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 新たな一番上のそのカードが出たターンに依存する |
| リンクした時 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○※ | G・リンクや覚醒リンクしたクリーチャーは召喚酔いしない |
| リンクが外れた時 | ○分 | ○分 | ○単 | ○単 | ○単 | ○分 | それらのカードが出たターンに依存する |
| クリーチャーがクリーチャーに裏返った時 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 「覚醒」によって裏返ったその面は召喚酔いしない。それ以外の方法で裏返すと召喚酔いはそのまま |
| クリーチャーがフォートレスに裏返った時 | ○ | ○ | × | ○ | × | - | - |
| タマシード/クリーチャーがクリーチャーとして扱わなくなった時 | ○ |
| 入れ替わった時 | × | × | × | × | ○ | ○ | 召喚酔いする |
| 封印された時 | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ | 該当カードが出たターンに依存する |
| 進化クリーチャーが横跳びした時 | ○分 | ? | ? | ○ | ○[3] | ○ | 進化クリーチャーは召喚酔いしない |
| 魔導具の上に無月の門能力で上に乗せられた時 | × | × | ?[4] | ○ | × | × | 召喚酔いする |
| 非進化が退化した時 | オブジェクトとして存続せず墓地に置かれる |
分……複数のオブジェクトに分かれる場合、それらすべてのオブジェクトに同値で引き継がれる。
単……複数のオブジェクトに分かれる場合、いずれか1つのオブジェクトにだけ引き継がれる。複数のカードがある場合、1枚ごとにどのオブジェクトに引き継ぐかを選べる。
※……タップが優先される
その他
- かつてはアイコン能力の中身は待機せず、解決時にカードのアイコン能力を参照する裁定だった。アイコン自体が常在型能力のような扱いで引き継ぎも行われないため、例えばアイコン能力を使う能力が待機している間に該当のクリーチャーが進化するなどした場合、解決時にアイコン能力を参照できず不発となる事があった。
2019/12/12の総合ルール改定によってトリガー能力はアイコン能力の中身も含めて待機するようになり、待機している効果自体が引き継がれれば問題なく使用できるようになった。
参考